
犬も平均寿命が年々伸びて今では14歳以上になりました。
人以上に急激な高齢化を迎えている犬の世界、私たち飼い主にとって長生きしてくれるのは嬉しいことではありますが、腎臓病や心臓病、癌、などの病気が多くなっているのも事実です。
認知症も犬の高齢化によって増えてきている病気の一つですが、犬に認知症があることを知らない人も多いようですね。
認知症は10歳以上の犬に多く発症し、14歳以上の犬の約40%が発症してるとも言われています。
今日は獣医師の斎藤厚子先生の認知症についてのお話を抜粋しましたので、シェアしたいと思います。
認知症ってどんな病気?
認知症は加齢などによって脳が萎縮して様々な行動変化が起こる症候群です。
しつけていたことができなくなったり、以上な行動を撮ったりするようになります。
日本犬、特に柴犬は認知症を発症しやすい傾向があるようです。
症状は大きく見当識障害、社会的交流の障害、睡眠覚醒周期障害、不適切な排泄、活動性障害の5つに分けられます。
よく見られる症状としては、部屋のかどや隙間で行き詰まる、呼びかけに無反応、夜鳴き、排泄の失敗、徘徊、異常な食欲などです症状の出方は様々ですが、進行に伴っていくつもの症状が重なって現れてきます。
この中で一番問題になってくるのは夜鳴きではないでしょうか?
他の症状はお家の中で気をつけて生活することで割と対処できますが、夜鳴きに関しては飼い主さんの睡眠不足や御近所さんからの苦情対応でケアする側の心に大きな負担となってしまいます。
診断方法は?
特徴的な症状と、他の病気を除外することで診断します。
症状は飼い主さんからの聞き取りになるので、客観的に評価するために、食欲や生活リズム、排泄状態などについて点数式の質問表を使用することもあります。
病気の除外のためには、身体検査、血液検査、ホルモン検査、必要に応じてレントゲンや超音波検査などを一般的に行います。脳の萎縮をMRI 検査などで確認できればより正確ですが、麻酔をかけて行う検査なので脳腫瘍の疑いがあるとき以外はあまり行われません。
認知症になってしまったらどうしたらいいの?
認知症に効く特効薬は今のところありません。
大事なのは進行を遅らせることとうまく付き合っていく方法を学ぶことです。
治療は大きく3つに分けられます。
1)行動治療
2)サプリメント・食事療法
3)お薬での治療
具体的な行動治療としては、日中は日光浴を兼ねて散歩に行く(歩けない場合は抱っこやカートで)ことで体内リズムを整える。適度な運動や知育トイなどでの遊び、フードを使ったゲームなどで脳を活性化させる、眠りに入りやすいパターンを作るなどです。
DHAやEPAの含まれたサプリメントや処方食などは、脳や神経組織の機能を高め、記憶力や判断力を向上する効果があると言われています。
また、程度は様々ですが、不安、ストレスを軽減するようなサプリメントや抗酸化作用のあるサプリメントなども効果があるとされています。
行動治療やサプリメントなどの対応で改善が見られない場合や、ある程度進行してしまってる場合には内服薬での治療が選択となります。ヒトの高認知症薬や抗不安作用のある薬、夜間の睡眠を促すための薬などが選択肢に上がってきますが、副作用もあるので使用方法、使用量は獣医師の指示に従うこと、定期的に受診して必要に応じた血液検査などを受けることが重要です。